幸せの構図
なんだかドキドキがとまらなかった。

ついに・・・ついに脇町に着いてしまう。思いよりも先にカラダが動いている感じに少しうろたえていたかもしれない。

タクシーには「うだつの街並み」を見たいとだけ告げた。運転手の徳島訛りのイントネーションがとても暖かく感じた。

「お客さん、どちらから?」

「長野・・・いえ、秋田からです」

「ほ~、秋田からのお客さんを乗せたのは初めてですよ」

団塊の世代と見受けられる運転手のひとなつっこい口調にも安心感を覚え、初めての土地にもかかわらず一瞬にして不安感は吹き飛んだ。

タクシーを降り、私は脇町の地についに足をおろした。
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