幸せの構図
「それなのに?」

「初めて見たとき、カッコイイって思っちゃった」

「それ、笑えるかもです」

りつこは身を乗り出してすーちゃんにいたずらっぽく笑いながら言った。

「会うたびに同じジーパンでね、日に日にそのジーパンのももの部分が茶色になっていくのよ。出会ったのが秋なんだけど、いつも同じカメラマンコート。踊る大走査線の織田裕二みたいなやつね。きっと他の誰もカッコイイなんて思ってなかったと思うの。だから私たちが同棲してるなんて発覚したときは皆驚いてたなぁ。あ、決して私が釣り合いの取れない美人だったって訳じゃないのよ」

「いいえ、すーちゃんの言うこと、とってもよくわかります。ヤツの笑顔にだまされたんですよね」

「そうね、それもあるかなぁ。でも一番は互いの寂しさがきっかけだったと思うわ」

「でもそれってありですよね」

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