三次元に、恋をした。
この子は本当に勘が鋭いし、出来の良すぎる後輩だ。

「さっ 仕事しましょ! 私 ちょっと営業部に行ってくるね」

浮かない顔の愛梨ちゃんはそれ以上聞いてくることはなかった。

気を使わせておいて先輩として人として、私はつくづくダメ人間だな。

おもむろにポケットに手を入れた。

彼の忘れ物の名刺入れ。

結局あの日も渡せる事はできず未だに私が持っている。
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