それはちょっと
「でも、彼女のことを知るにはいい方法だと思わない?

南くんのことだから、絶対に口を割らないだろうし」

何がおかしいのか、部長はクスクスと笑っている。

…それは確かに。

「だからと言って部下のプライバシーを侵害するのはどうかと思います。

と言うか、何があって私の誕生日を知る必要性があったんですか?」

プライバシーを侵害されたこっちの身にもなってみろ。

勝手に誕生日を知られたこっちの気持ちを考えろ。

そう思いながら言い返したら、
「何か欲しいものがないかなって思って」

部長が言った。

「欲しいもの、ですか?」

それはつまり、誕生日プレゼントと言うヤツでしょうか?

「部長が買ってくれるんですか?」

続けて聞いた私に、
「当然でしょ」

部長は眼鏡越しの目を細めて返事をした。
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