それはちょっと
そもそも、部長は何がよくて私に近づいているんだ?

…やっぱり、顔なのか?

我ながら自意識過剰である。

部長みたいないい男なら、女なんて選びたい放題のような気がする。

その中で何で私を選んだのか、全くと言っていいほどによくわからない。

他にも愛想がいい女とか気立てがいい女とか、いろいろいるような気がするんだけどな…。

「あー、もう何だかバカらしくなってきた…」

誰にも聞こえないように小さな声で呟いて、息を吐いた。

部長のことを考えているなんて、これじゃあ彼の思うつぼである。

と言うか、私も自意識過剰過ぎるだろ…。

部長は、私をからかって遊んでいるに違いない。

そう結論づけると、目の前の仕事に取りかかった。
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