それはちょっと
そして、私はどうしたいと思っているのだろう?

――近くても南くんと離れるのは寂しいな

そう言って笑っていた部長の顔を思い出したら、私の胸が締めつけられたように痛くなった。

私は、本当に部長のことが好きなんだと思った。

部長が異動になってしまったら、私はどうすればいいのだろう?

まだ、彼に“好き”って言っていないのに…。

トイレを後にすると、オフィスへと戻った。

チラリと部長のデスクに視線を向けたけれど、今日は彼が地方へ出張でいなかったことを思い出した。

もうくせになってしまっているなと、私は思った。

自分のデスクに腰を下ろすと、気持ちを落ち着かせるために深呼吸をして、いつものように仕事を始めた。
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