君を愛した時間〜残した宝物
裸足のまま家の前まで着いた、俺は壊れたサンダルをごみ箱に投げた。
玄関を開けると、女物のサンダルが有った。
《沙羅!》
俺は、そのまま部屋には入らず玄関の扉を閉めた。
「はぁー…」
沙羅と口論する気力もない…。
(シュボッ)
「ふぅー…」
俺は、煙草の煙を夜空に向かって吹いた、裸足のまま公園に向かって歩きだした。


――「どうした…、早くドレス選ばなきゃ…」
《!》
後ろを振り向くと、直君は、ソファーに座って私を見ていた。
「…直君、選べないよ…、私…」
「それ!、左から2番目セラに似合いそうだ!」
そう言って直君は、立ち上がりドレスを手にとった。
「…直君」
「綺麗だ!これに決めよう!なっ!セラも見てごらん!」
直君は、私の体にドレスをあて、私を鏡の前まで連れていった。
「どう?気に入った?!俺は気に入ったけど!」
「直…」
「そうだ!!セラにまだ渡してない物があったんだ!、…これ」
直君は、胸のポケットから指輪を出した。
私の左手を握り、薬指に指輪を……。
「…!!」
私は、左手を引いた。
「セラ!」
「ごめん!」
「謝るなと言ったはずだ!」
直君は、また私の左手に手を伸ばした。
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