去れば
煙草と指輪
まだ右と左を自分の左手にあるホクロをみて確認していた頃、私は馬鹿みたいに運命の王子様というやつを信じていた。
そんなのある訳ないのに、ロミオとジュリエットのジュリエットになれると信じて疑わなかった。
お金がなくても愛があれば生きていける、なんて甘えたことを言ったのは一体どこの誰だろう。
17回目の誕生日を迎える私には、そんなこと到底思えそうにない。
息をするように嘘つきながら生きるようになった私は、死にたいと思いながら死ぬことも出来ずに微かな愛にしがみついて生きている。