天神の系譜の奇妙なオムニバス

お迎えに上がりました

何も事情を知らないベルでさえ、古奈美と男子生徒達の間の不穏な空気は察知していた。

しかし。

(桜の結界が反応しない…?)

この天神学園の桜の結界は、悪意や殺意を持つ者に対して敏感に反応する。

そのような思惟を持つ者が侵入すれば、必ず学園長や教師達に伝わる筈なのだ。

それが反応していないという事は。

(この人達は、悪意はない…?)

「油断しないで下さい、ベルさん」

ベルの思考を読んだかのように、古奈美が言った。

その言葉には鋭さが感じられる。

「見廻組上位の隊員達は、感情を殺したまま暗殺さえ遂行します。そこに悪意も殺意もない、機械のような集団なんです」

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