【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


(……双子?)


そんな考えが浮かんだとき、相馬が私の腰をひいた。


「沙耶、紹介する」


相馬に促され、私は彼らに挨拶した。


「初めて、御目にかかります。黒橋グループ総帥、黒橋健斗の第一子、黒橋沙耶です。以後、お見知りおきを」


一応、教育された通りに。


すると、横で、


「……俺のときと、違いすぎるだろ」


と、相馬がぼやいた。


「なにが?」


わざとボケて、にっこり微笑んでやると、目の前の二人が……陽希さんと陽向さんが吹き出す。


「ブッ、クククッ……」


「アハハハッ……!!」


この笑いようは、もしかしなくても。


「……はぁ、ククッ、お前か、相馬にシャンパンぶっかけたのは」


「……知ってるんですね」


陽希さんは笑顔で、そう言う。


(……なんで、知ってるんだ)


暫く、この話題で弄られそうである。


「今や、御園のみんな知ってると思うよ?」


「えぇ!?」


何てこった。


身近な人間の恨みを買うだけならまだしも、御園の怒りを買ってしまったら、ひとたまりもないではないか。


「……相馬、悪かった。だから、家だけは勘弁」


一応、悪いとは思ってる。……一応。


だから、(適当に)謝った。


そしたら。

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