【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
□沙耶side■




ただ、私は走っていた。


光を追って、ただ、ただ、走っていた。


「待って、私から逃げないで……」


小さな双子は、どんどん、どんどん、遠ざかっていく。


「待って、私も……」


その先は、言葉にできなかった。


その先?


私の体は、死んだのに?


なんで、走っているんだろう。


こんな風に光の方向に、これから生きる双子のあとを私が追って、なんか、起こるのかな?



「…………生きたいか?」


息が上がり、苦しくて。


立ち止まると、ふと、耳に入った声。


「……貴方は?」


長い、長い、黒髪を背中に流し、彼は笑う。


「月の人間だよ」


「月、の……?」


「ここは、我らの精神世界……なぜ、ここにそなたはいるんだ?」


闇の中で、光だけが輝いていたはずの部屋。


「目を閉じて」


これは、私の夢のはずなのに……この人は、何を言っているのだろう。


とりあえず、言われたままに目を閉じると、風が吹き抜け、私の頬を撫でた。




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