【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「っ、呪いか?」


その言葉に彼は首を振り、私の身を案ずる彼は私に手を伸ばそうとした。


「普通の発作だ。呪いは、こいつが死んだときに終わっているはずだが……」


けど、それを、彼は阻む。


「発作は、現世のもの。現世で沙耶が起こしている」


「!?……?」


現世?


それって……私の体は、まだ、生きているってこと?


そんな私の声が聞こえたかのように、彼は深く頷いて。


「還れ。そなたは自分の世界へ」


柔らかく、微笑んだ。


「闇に呑まれては、二度と、還れない。儂らは、天へ還るから……そなたは、現世に還りなさい」


「けど、月耀!」


「朱鷺、この子は夕蘭ではない。夕蘭の来世だ。現世には、相馬が……お前らの来世がいるんだ。不幸には、ならない。不幸には、しない。殺されることも、ない。だから、現世に還してやるんだよ」


夕蘭の最期を看取った人、朱鷺は目を見開いて……


「そうか、……そうか……」


と、嬉しそうに、呟く。

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