シンデレラLOVERS

「姉ちゃんによろしく」


動揺して慌ててるわたしとは正反対で。
有宮くんは涼しい顔でこう言い放つと、颯爽とした足取りで校舎の中へと戻っていってしまった。


「あっ……」


その後ろ姿を門のてっぺんから見つめながら、ふっとわたしの頭の中に浮かんだこと。


せっかくこうして手を貸して貰ったのに、ありがとうって言えなかった……。


わたしと付き合うって話が嘘じゃなかったら……このお礼が出来るチャンス、あるかな。


そんなことを思いながら、まだドキドキする胸を押さえ、わたしは葉琉ちゃんの元へと小走りで足を進めていった。

< 13 / 115 >

この作品をシェア

pagetop