シンデレラLOVERS

「行こう。水原さん」


優しく促してくれる城崎くんに従って、わたしは黙ってついていくしか出来なかった。


……善雅くんは今、どんな顔してるの。


城崎くんに手を引かれながら一度だけ、善雅くんの方を振り返る。


わたしを見つめる善雅くんの顔が苦しそうで、ギュッと胸が締め付けられた。



そんな顔しないで……。
邪魔者はいなくなるよ。



城崎くんに手を引かれながら、わたしは二人の前から去っていく。



わたしが邪魔者だってわかってる。



わかってるのに……心の中で、一度だけでいい。

名前を呼んで、止めて欲しいって願う自分が居た。


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