シンデレラLOVERS
……誰かが髪に触れた。
そんな感覚で俺の意識は、微睡みの中から目を覚ました。
……紘也が起こしに来たのだろうか。
気がつくと、運動場からはガヤガヤと騒がしい声が聞こえている。
どうやら部活が始まる時間になったらしい。
「熱い……」
熱で口の中はカラカラに渇いてた。
多分、様子を見に来てくれたであろう紘也に水を貰おうと、俺はゆっくりと目を開いた。
「あっ……大丈夫?」
「っ!?」
目を開いた先に現れた人物に思わず、俺は自分の目を疑った。
熱が見せた幻覚なのか……。
じゃなければなんで、ここに日菜琉がいるんだ?
日菜琉の存在に気付いて慌てて体をベッドから起こした俺に、
「起きて平気なの?」
俺の額を冷やしていた濡れタオルを手にした日菜琉が、心配そうに声をかけてきた。
「なんでここにいるんだよ」
「えっ? あ……城崎くんから聞いたの。気になったから様子見に来たんだけど……ごめんね」
俺の質問に慌てて答えた日菜琉は、何故か申し訳なさそうに瞳を伏せた。
紘也の奴、どういうつもりなんだ。
紘也の意図がわからずに黙り込んだ俺に、
「城崎くんが起きたら呼んでって……。わたし呼んでくる」
「っ!」
こう言って傍らの椅子から立ち上がった日菜琉を、とっさに腕を掴んで引き留めていた。
「どうしたのっ? 苦しい?」
いきなり腕を掴んで引き留められた日菜琉は、咄嗟に心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。