勿忘草―愛を語る花言葉―

意外なのは変に鋭いところ。


最初の時も俺が呼び捨てにしそうになったことに気付いたし、その後も本当にごく稀にだけど、



「隼人先輩これあげます」


「えっ、何?」


「のど飴です、風邪ひいていますよね? いつもと声が少し違ったので……」



誰も気付かないような些細なことに気が付いて、のど飴をもらって食べれば少し安心した表情を見せる。



「何で気付くかな」

「えっ?」


「……いや、何でもないよ」



それ以上追求されたくなくて肩をポンポンッと叩くと、嬉しそうに俺に笑顔を見せてくる。


そんな凪咲に、たまに……ドキッとさせられることもあるんだけど、まぁ基本的にはいつもヒヤヒヤさせられているな。


目が離せなくて放っておけない。


なんて勝手に思っているんだけど、サークル内でも既に“俺の隣には凪咲”が定着していた。



妙に俺に懐いた後輩の凪咲は、千理の言うように“刷り込み”によって俺を頼るのかもしれない。


頼れるかどうかは別として……。




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