恋ぞつもりて、やがて愛に変わるまで。


「あの……じゃあ俺、入部します……よ?」


不穏な空気をまとう私たちを困惑したように見つめて、声をかけてくる業吉先輩。

私はちょこんと業吉先輩の隣に並んで、雅臣先輩を振り返った。


「私も入部します。なので、よろしくお願いします」


一応礼儀かな、と私は深くお辞儀する。

そして、もう一度顔を上げると──。


「っ……あぁ、これからよろしくな」


一瞬息を詰まらせて、なぜか泣きそうな顔で笑う雅臣先輩に、私は言葉を失う。

雅臣先輩……?

その笑顔に、どんな深い意味があるのかはわからない。

再会してからの雅臣先輩はどこか痛々しくて、どうしてそんな顔をするのか、その悲しい笑顔の意味を知りたいと思う。

雅臣先輩のそばにいたら、いつかわかるのかな?

……ううん、わかりたいと思う。

いつか、私が雅臣先輩を守れるくらいに強くなったその時は。他の誰でもなく私が君を笑顔にしてあげたい、そう思った。


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