好きの海に溺れそう
「今日、突然新太くることになってごめんね?」

《んーん。海琉が友達連れてきてくれて嬉しかったよ》

「そういうもの?」

《そりゃそうだよ、彼女として紹介されて彼女として彼氏の友達と仲良くするの、嬉しいよ》



なんか照れる…。



せっかくのバイト休みで二人で過ごせなくて残念と思ったけど、杏光が嬉しいって言ってくれるならいいや。



《海琉が学校で女の子と喋ってることも知ったし》

「…そんな喋ってないよ」

《べっつにー?喋っててもいいよ、彼女の余裕があるから》

「…」

《でも、あたしが知らない教室で知らない女の子とどんな会話するんだろうね?》



なんかこわい!



まあでも、俺も杏光が、俺の知らない教室で知らない男の人とどんな会話するのか…うう、考えたら気になる…。



杏光は普通に男子とも仲良く喋るからな…。



《あと、海琉が前好きだった子のことも気になるし…》

「あっ、それは…もう本当に…何もないし喋んない…」



そういえばそんなこともあったな…。



あれからすぐ、杏光の雰囲気が変わって杏光のことばっかり考えるようになってたから…。



そう言ったら、すごく嬉しそうに笑った。



電話越しの、杏光の声。



会いたいな…。



「会いに行っていい?」

《…もう遅いから寝な》

「ダメなんだ…」

《会っちゃったらバイバイするのが嫌になっちゃうじゃん…》



かわいい…。



電話越しに、どうしたらこの好きな気持ちを表せるだろうか…。



俺たちの日常。



壁を一つ隔てた向こう側の杏光を想って、二人で惜しみながら眠りについた。



杏光、おやすみ…。
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