好きの海に溺れそう
~杏光~

さあ、次は後夜祭だ。



後夜祭は自由参加で、去年は参加せずにすぐ帰って彼氏の家に行ったりしてたけど、今年はせっかくだし参加しよう。



それに、後夜祭は花火が上がるらしい。



好きな人と花火はやっぱり見たいよね?



お互いHRに出てから、花火があがる校庭までやってきた。



海琉は執事の服は脱いでしまっていて…。



うう…残念…。



「あの服って持って帰るの?」

「ん?執事服?そうだね、持って帰ることになるかも…」



本当!?



じゃあいつでも頼めば執事海琉を拝める…?



「何そのキラキラした目…」

「帰ったらあたしだけの執事さんになってね?」

「ん…何でもするよ?」



ぎゅんっ!



え、今のなに…?反則すぎる…。



花火どころじゃない…。



そう思った瞬間に、花火が上がった。



わあっと校庭から歓声があがる。



海琉と手をぎゅっと握って、真上に上がる花火を見つめる。



こんなに近くで見たの初めて…。



大好きな海琉と、綺麗な花火。



この二日間の楽しかった記憶を、更に鮮明に美しくするように、花火は次々上がってく…。



花火が終わったあとも、しばらく余韻で。



繋いだ手は離せそうもない。



「帰ろ…っか」

「そだね…」



そう思って2人で歩き出すと、周りはカップルだらけ。



そことそこ付き合ってたの?って子たちもたくさん…。



後夜祭はそういうのもわかって面白いって聞いてたけど、まさかこんなにとは!



びっくりだ。



そして、さらにびっくりなことがあった。



校庭から校門に向かって歩いていたら、一年生っぽい女の子2人に声をかけられた。



「杏光先輩ですよね?よければ一緒に写真撮ってくだ…あっ海琉先輩もいる!やば!」
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