好きの海に溺れそう
夏は熱い
~杏光~

夏は本格的に始まろうとしていた。



明日から夏休みがはじまる。



高校生活最後の球技大会を終えた今日。



現在、海琉の教室で海琉の膝の上。



なんでこんなことになってるかというと…。



遡ること、20分前。



「海琉帰ろ~」



いつもみたいに海琉を教室に迎えに行った。



今日は海琉と学校の帰りに映画を見に行く予定。



放課後デートが嬉しくて、うきうきで教室に行った。



あたしに気づいた海琉は、すぐにこっちに来ようとした。



なのに…。



「あ、霜月はこのあと数学の補習あるから居残りな」



担任の先生が軽い口調でそう言った。



居残り!?



海琉も初耳っぽくて、「え?」と言ってる。



「え、それって夏休み中じゃ…」

「なんか、さっき急に数学の岡野先生がその日無理になったとかで振り替えになったんだよ」

「いや、困ります。今日予定あるし…」

「だよなあ? 今日が無理なら、15日ってことになるらしいけど」



15日って、海琉と花火大会行く約束してる日じゃん…。



ええ~…?



「ま、とりあえず今からここに岡野先生来るから、そっちで決めてくれ」
< 218 / 350 >

この作品をシェア

pagetop