好きの海に溺れそう
待ちに待った
~海琉~

写真展開催まで1ヶ月を切った。



もうすっかり季節は冷え切っていて、街中はクリスマスモード。



最近の杏光は本当に本当に忙しそうだけど、クリスマスは一緒に過ごす約束をしてるから俺も杏光も楽しみにしてる。



杏光と過ごす付き合って2回目のクリスマス。



去年はイブは学校があったけど、今年はイブから冬休みだ。



25日は杏光が仕事あるみたいだからゆっくりできないけど、久しぶりに近場で泊まろうって話しをしてて。



今年は忙しくて杏光の家と俺の家、玖麗の家での年明け恒例旅行はできないんだけどね。



杏光のこと心から応援してるし、これは仕方ないこと。



杏光がんばれ~。



そんな今は、俺の家で杏光とゆっくりしてる。



さっきまで俺の部屋で杏光は仕事してたんだけど、一段落ついたみたいでこっちに来た。



杏光が甘えたように俺の膝に寝転ぶ。



心臓がきゅって鳴る音がして、杏光の髪の毛を撫でた。



「今すごいドキドキした…」



杏光がそう言いながら半身でこっちをぐっと見つめる。



可愛いです…。



そこに、この幸せな時間を切り裂くように電話の音がした。



これは杏光のスマホだ。



杏光がだるそうに俺の膝の上で寝転びながら電話を取った。



「はい、もしもし」



俺は暇なので杏光の髪の毛をなで続ける。



杏光は俺を見ながらにこっと笑った。



でも、その表情がすぐに険しくなる。
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