眠り王子が完璧に目覚めたら




「和成君みたいな若造には、きっと翼の相手は役不足だったんだろうと思っています。

ま、あなたにも翼に比べたら普通の彼女が出来てるみたいだし、俺も心置きなく翼を一人占めして幸せにしていこうと確認できて良かったかな」


そして、城はもう一度ドアを強く大きく開き、和成の前に割って出た。


「どんな理由があれ、女性に暴力をふるうなんて最低の男がする事だから。
ましてや、俺の翼に手を出すなんて、あんた相当なバカな男だな。
俺を怒らせない方が身のためだぞ。

今日はあんたに、翼にも新しい彼ができて一緒に暮らしてますって報告に来ただけ。

ま、そういう事だから。
お騒がせしました」


城はそう言うと、開けていたドアをバンと閉じた。
煮えたぎる怒りを全てこのドアにぶちまけて。

それでも怒りが収まらない城は、大きく深呼吸をして翼の頭にキスをする。


「行くぞ」


城は翼の肩を抱きしめたまま、階段の踊り場まで歩いた。
翼は泣いて震えてるのか、それとも驚いて震えているのか、城には何も分からない。
でも、踊り場に着いた途端、城は感情に身をゆだねて翼をきつく抱きしめむさぼるようなキスをした。

翼は俺のものだ…
翼を傷つける奴がいたら、俺は絶対に許さない…

翼はどうやら泣いているようだった。
でも、俺の首元に手を回し、何度もこう言ってくれた。

城…
ありがとう…
本当にありがとう…









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