眠り王子が完璧に目覚めたら
“嫉妬”に支配される



城は隣でスースー寝息を立てる翼を見て、ひと息ついた。
この家に来てから、かれこれ3時間は経っている。

城はようやくベッドを組み立てる事ができた。
一つ助かったのは、翼も何度かトライしたらしく部品も工具も全て揃っていたこと。
段ボールをとりあえずキッチンに全部押しやりスペースを作ってみたが、このベッドは思いの外大きかった。
リビング自体は比較的広い方なのだが、それでもスペースが足りず、城は仕方なく翼の寝ている二人掛けのソファもキッチンの方へ移動させた。

どんなに物音を立てても、自分の寝ているソファがずりずり動いても、翼は何があっても起きる事はない。
それだけは本当に素晴らしい。

出来上がったベッドは確実に一人用ではなかった。
いわゆるダブルベッドだ。
組み立てた骨組みに薄めのマットレスを敷くと安いベッドだけれど、寝転んでみるととても気持ちがいい。
城は勝手に部屋のレイアウトを考えて、そのベッドは窓際の壁に寄せた。


ひと息つきながら、城は勝手に翼の冷蔵庫を開ける。
冷たい水でも飲まなきゃやってられない。

翼の冷蔵庫の中には、水のペットボトルが2本と、グレープフルーツが2個しか入っていなかった。

こんな食料で一体どんな生活を送ってるんだ??

すぐにでもコンビニに行って買い物をしたい衝動に駆られたが、城はグッと堪えた。








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