たった二文字が言えなくて
「俺の席きたら?」


「え?」


「俺の席で話してれば、後ろ坂口じゃん」



……なるほど。
でもさ、想像しただけでやばい。



「ごめん、もうお前の席行けない」


「は?」


「だって後ろの席にいるかと思うと無理、俺」



机に顔を伏せる。
考えただけで顔が赤くなるとか小学生かよ。



「は?お前、まじで凜?」


「うるせーよ。自分でもびっくりしてんだよ」



こんなの俺じゃねぇ。
俺なわけないんだ。



「ねぇ、凜くんってさもしかして静菜のこと好きなの?」



突然走ってきた女の子で視界が悪くなる。
この子は静菜ちゃんが一緒にいる子……のはず。



「え?なんで?」


「だってデートしたんでしょ?」


「あー……」



結局、デートと言っても少しベンチで話しただけ。
静菜ちゃんが俺のことを嫌いな事にショックを受けて帰ってきてしまったから、あれがデートといえるのかどうか。

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