霊感彼氏。


雰囲気ぶちこわしの一言。

あたしは反射的に神代君から離れた。


ばっと振り返ると、案の定レイが目を細めて立っていた。

腕を組んで仁王立ちしているその姿は、とてもじゃないけど子供らしくなんてない。


いつのまに戻って来たのよ!

あたしは口をパクパクとする動作を繰り返した。



「……レイ、アレは」

「片付けた」

「ありがとう」

「いんだよ、楽勝だったし」


神代君とレイが、何事もなかったかのように会話を繰り広げる。

あたしは、幽霊であるレイに今のシーンを見られた羞恥心で顔を真っ赤にしているっていうのに。


ていうか、アレってさっきの霊?

片付けたって……。



「レイ、あんた何者なのよ」


幽霊が幽霊を退治するだなんて、聞いたことがない。

あたしは鼓動を落ち着かせながら尋ねた。


そんなあたしに向かって、べーっと舌を出しながらレイは言う。


「お前なんかに教えねえっつーの」

「なっ……!」


めらめらとあたしの中で怒りの炎が上がる。

ほんっと、むかつく……っ。


思いっきり睨みつけるあたしに、ふっと不敵な笑みを見せたあと、レイは呟いた。


「でも」

「?」


様子が違うことに気付き、あたしは肩の力を抜く。

レイはあたしの目をじっと見ながら言った。




「お前でよかったよ」




は?

とあたしが尋ねる前に、レイはふっと姿を消した。


えっ!?

消えた!?


あたしは目を丸くして神代君に説明を求める。



「いつものこと」

「急に消えたり出たりするの!?」

「うん」


こくりと頷く神代に、あたしはへぇ……と声を漏らした。

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