紳士的?その言葉、似合いません!
「こんなところで会うなんて奇遇ですね。ここ、よく来るんですか?」
「…えぇ、まぁ」
摂取したアルコールが一瞬にしてどこかに行ってしまった。そのぐらい驚いた。
未だ状況が飲み込めずに固まるわたしを他所に都築さんは自然な動作でわたしの隣に座って普通にお酒を注文していた。いや、なぜ隣に座る。
「私もよく来るんですよ。と言っても最近ですが。会うのは初めてですねぇ」
穏やかな笑みを浮かべたまま話す都築さんに何か言えるはずもなく、わたしは曖昧に返事をしながら手の中のモスコミュールを一口飲んだ。
都築 湊、確か年齢はわたしとそう変わらなかったはず。2か3歳ほど上なだけだったような気がする。同じ秘書という役柄か仕事上接点は多い。
そうは言っても向こうは社長の第一秘書、わたしは第二秘書の秘書って感じだけど。つまり役柄は同じでもその立場は雲泥の差だ。
そんな彼は当然モテる。社長秘書なのだ、経済力は申し分ないしルックスもいい。ついでに性格もいい。
本人曰くクォーターらしく全体的に色素が薄く、白皙の美青年って感じ。日に溶けてしまいそうな綺麗な茶色の髪に白い肌、赤い唇、穏やかな光を浮かべている瞳は茶色だけどよく見ると左だけ青みがかっている。
中性的な人でこの人が実はどこぞの国の王子だと言われても納得するぐらい綺麗だし気品がある。同じ人間とは思えないぐらいだ。