紳士的?その言葉、似合いません!



わたしはわたしに自信が持てない。好かれるわたしが信じられない。好きだと言ってくれる都築さんを信じたいのに、その対象がわたしだってことが信じることを躊躇わせる。


普通の女の子ならそういうのすっ飛ばして好きな人を信じられるんだろうけどわたしには無理だ。こういうところが可愛げがないなぁとしみじみ思うけど仕方ない。これがわたしだ。



「ほんと見てて思うけどなんであんたそんなに恋愛音痴なわけ?仕事はあんなにできるのに」


「仕方ないじゃないですかほっといて下さいよ」



拗ねてる自覚はある。ちょっと八つ当たりかもとも思う。わたしだってなぜこんなに恋愛に対してこんななんだろうと腹立たしくもある。


けど理屈じゃないんだから仕方ない。もうわたしはこういう体質なんだと思うしかない。



「あーハイハイ、とりあえず飲みなさい」


「飲めません」


「あらそうだった」



わざとですか先輩。でもそのわざとらしさがなんだかおかしくて自然と笑いが込み上げてきた。


お酒ではないけど飲んで料理も食べて。他愛もない話や仕事のこと、都築さんや社長の愚痴などで盛り上がって、気づけば夜も遅くなっていた。




< 53 / 94 >

この作品をシェア

pagetop