・キミ以外欲しくない

広い部屋に観葉植物と応接用のチェアーが中央に設置され、ローテーブルにはセンス良く飾られられた生花。
大きな本棚には沢山の書物が並んでいる。
経営学に建築関係の本など、我が社に必要だと思われる書物ばかりが目に入る。

デスク上には『副社長 国領真司郎』とプレートが置かれ、内線電話とデスクパソコンが二台設置されていた。
そして、乱雑に広げられている書類の数々。


仕事をしている環境は明らかに違うけれど、副社長も社員と同じように多くの仕事をしているのだな。と推測できる。
だから、今まで「社長の後を引き継ぐだけでしょ」と思い、内心バカにしていた私は反省していた。


「さっきから何をジロジロ見てるんだ?」


資料に目を通したまま、副社長に言われ。
ずっと副社長に見とれて、観察していたことを指摘された私は慌てた。


「あ、いえ。実は、あの後の会議は散々な事になってしまって」


副社長が退席し、会議室に戻った私は緊張と不安から足が震え、顔も引きつり。
ろくに議長として会議を進行出来なかったことを報告した。


「副社長が居ないと思ったら、何だか不安で怖くなってしまって。緊張が再び襲って来たというか……」

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