最後の恋 【番外編: 礼央目線】
目の前が一瞬で真っ暗になった。


何故?どうして彼女がここに?!


しかも昼休みはとっくに過ぎて既に5限目の授業は始まっていた。


トボトボと真下を歩く彼女の様子は明らかにおかしかった。


泣いた後なのか、ハンカチで顔の中心を覆うように抑えていた。


彼女はあの時、あの図書室のどこかで全てを聞いていたのだろうか。


それに…どうして彼女が泣いているのか。


泣くほど悲しい事があったのか、それともただ体調が悪いだけなのか分からなかったけど、あの小さな肩を支えてあげたかった。


だけど、それは俺の役目ではないし、そんな事は許されない。


松野さんは、教室の方には戻らずそのまま階段を下へと降りていった。


辛そうな松野さんの事が心配でどうしても気になって…少し離れてバレないように俺も階段を降りていく。


1階に降りるとすぐ目の前にある保健室に入っていくのを見届けてから、俺は教室へと戻った。
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