全ての記憶を《写真》に込めて

帰り道。
いつも通っていたらしいけど、私には覚えがない。
でも、何故か懐かしいような気がして。

「晴くんのモデルの姿素敵でした!」
「あったりまえでしょ〜」
「さすがです!」

こうやって他愛ない話をして帰っていたのかな。

「ねぇ彩月はさ、今は倒れてないけどいつかまた意識失っちゃうんでしょ」
「え、………まぁ、そうですね」
ただ延命しただけだって病院の先生から聞いた。
「治したい?」
「もちろんですよ!……だって、晴くんや茉莉ちゃん、翔くんのことをまだ何も知らないですし…」
「そっか、俺も治って欲しい」
そう言って頭を撫でる晴くん。


「……あのっ!」
「何?」
「晴くんは、私のことまだ好きですか……?」
こんなこと聞いて何になるか知らない。
でも、こんな風に考えてくれる人なんているかどうか。
私は晴くんにどんどん惹かれていく。


「晴くん、あの…」

伝えなくちゃ。
でも、もし前の私の方がいいって言われたら?
それはそれで諦めがつく。
仕方ないことだから。
全部、私が悪かったから。

「あの、晴くんのこと、」

「待って」

「え、」


ゆっくり抱きしめられる。
なんで、こんなに優しくするの…。


「俺から言わせてよねぇ」
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