全ての記憶を《写真》に込めて
グラッと体が傾く。

「え……、」

このままじゃ、落ちるっ。
目をつぶって、カメラを抱える。だけど、誰かに引っ張られる感触がある。
そして、不思議と痛みはない。

恐る恐る目を開けると、
「ねぇ、なんで逃げるわけ?」
さっき、教室から出てきた人の腕の中。きっと、この人が助けてくれたのだろう。
「あ、ありがとうございます…」
カメラをきつく抱きしめる。

「……くくっ、自分の体よりカメラのほうが大事なのぉ?」

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