…好きか?

「朝比奈さん?」



ボーッとしていたらしく
平岡さんに声を掛けられ
ハッと我に返った。


目の前で彼女の心配そうな表情が見える。



「あ、え?ごめん、何?」


「大丈夫?
 まだ痛む?」


「あー…うん。
 そうかもね…」



副会長さんの心の痛みに比べたら
たいした事ないんだろうけど…


ふと机に伏せるゼンを見て
“離れなきゃ”と意識的に
距離をあけてしまう―――



「今日は疲れた。
 帰るわ」


「え?」


「担任には伝えといて」



鞄を持つと
ゼンに声を掛けず教室を出て行った。
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