彼女の居場所 ~there is no sign 影も形もない~

衝撃

それからひと晩待っても稔へのメッセージに既読は付かず、電話もなかった。

朝になり由衣子から体調を気遣うメッセージがきた。

『大丈夫、心配させて悪かった』と返信すると私の誕生日を祝うメッセージと誕生日プレゼントがあるから月曜日、明後日の仕事の後に会いたいという内容のメッセージが届いた。

由衣子は私が土曜の今夜から稔と過ごすことを知っている。


彼との約束は今夜18時に昨夜とは違うホテルのロビーだ。

土曜日の今日も朝から仕事だから夕方からしか会えないと数日前から言われていた。

あれから電話もメールもないけれど、果たして稔は来るのだろうか。

それに私はどんな顔をして会えばいい?



**********



ホテルの最上階にあるBarにいた。
私はひとり。


昨日から今日の出来事が頭の中をぐるぐると回る。


昨夜からずっと待っていた稔からのメッセージが届いたのは今日の午後だった。
あれからずっと里美と一緒にいたのだろうか。
今日は本当に来るのだろうか。

私の心配を他所に稔は約束通りロビーに現れた。

正直ホッとして、昨夜見たのは別人だったんじゃないか、何かの間違いだったんじゃないかと思えてきた。


ーーーーーーでも、間違いじゃなかった。

私は稔から実にあっさりと別れを告げられたのだから。


稔は私と合流するとそのまま予約していた客室に私を連れて行きそこで私に別れを告げた。
さすがに人目のあるホテルのロビーで別れ話はできなかったらしい。

それでも、昨夜の状況から想像がついていたとはいえ4年近くも付き合った相手にその仕打ちはあまりにもひどいんじゃないだろうか。

「部屋の支払いは済んでるから早希はこのまま泊まればいいよ。泣きわめいて修羅場になるなんてことは考えなかったけど、お前、泣きもしないんだな」

そんな無神経な言葉が私の中の何かを破壊した。
奥歯を噛み締め拳をギュッと握り締めた。

私の知っている稔はもうどこにもいない。

私と彼の人生が交わることはもうないのだ・・・

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