出会いは突然、電車にて。
「おはよ、杏奈ちゃん。」

「おはようございます、川波さん。」



私バカ?

なんで、わざわざ川波さんって言っちゃうのー!


それじゃわざと煽ってるみたいじゃん!


「杏奈ちゃん?俺、結構昨日勇気出して言ったはずなんだけど。」


怒りにまみれた顔でゆるく頬をつねられる。

ゆるくしてくれてるのも川波さんの優しさなのかな、って思う。

「ちゃんと呼びなさい。じゃないとこの手離さないよー!」

「わかひまひたから、はなひてくひゃひゃさい!」

ゆるく引っ張ってくれているといっても、引っ張られ続けるとさすがに痛くなってくる。

「まだ、なおってない!」

「わかっひゃ!からはなひてー!」


「名前は?」

「かひと!かひとかひと!はなひてー、おねがひだからー!」


川な、じゃなくて快斗はやっと手を話してくれる。


「杏奈ちゃん、ずっとこれからはそれでいてね。」

「うぅ、はぃ、じゃなくて、うん……。」


やだよー!絶対無理!

だけど引っ張られるのは嫌だ!
頬が伸びる!

こっちばっかり、こんな恥ずかしいのは嫌だ!
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