クールな外科医のイジワルな溺愛


「じゃあ、また」

華麗に白衣を翻して部屋を出ていく先生。するとすぐに、看護師さんがやってきて、ガーゼや包帯を新しいものに変えてくれた。

「いいですね~、芹沢さん。あの黒崎先生が主治医になるなんて、整形では初めてですよ~」

「は、はあ」

「言葉づかいは丁寧だし、優しいし。仕事もできて、なのにちっとも威張ったところがなくて。看護師も患者さんもみんな先生が大好きなんですよ」

まだ高校生みたいな表情の若い看護師さんは、しゃべりすぎとおもうほど気さくにしゃべりながら、処置をしてくれた。

いやいや、私もそう思ってたけど、あの人結構強引だし変なところありそうだよ? そう思ったけど、言わないでおいた。

入院中は、ほぼ毎日顔を合わせることになるのか……。あの、黒崎先生と。

何を考えているのかわからないあの人が主治医だなんて、心配だわ。何が心配って、足を触られてドキドキした私が心配だわ。事故で頭でも打ったのかな。おかしいな。

きっと、昔憧れていた人と突然距離が縮まったからだ。正体不明のドキドキは、そういうことにしておいた。


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