お見合い相手は、アノ声を知る人
冗談じゃないんだから。
そりゃ確かに、今日は祖父の我儘で折角の休みを台無しにしてしまったかもしれないけど……。


「貴方なんかに色々と言われる筋合いなんてないでしょ!」


たまたま隣に住んでて何度か二人でいる現場を目撃した程度じゃない。


それ以外のことは何も知らない筈でしょ。
彼のことも、私のことも知らないくせに。


「…筋合いないね。まあ、そう言われるとそうだって言ってやりたいところだけど……無理だな」


「なっ…!」


何言ってんの?この人。


「無理って何よ。無理なことなんて何もないじゃん!」


ムキになる私にきちんと向き直り、小早川さんは冷めた視線を投げ掛けてきた。


「あんた何も分かってねえな。うちのジジイが俺とあんたの見合いを組んだってことは、既に結婚させることがほぼ内定してるってことなんだよ」


「ええっ!?」


「変だと思わなかったのか?釣書も写真も見せられずに見合いだなんて」


「そ、それは……」


確かにそれはさっきからずっと妙だと思ってたんだ。

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