お見合い相手は、アノ声を知る人
苔生した古寺で……
「……ねぇ、新幹線に乗らないと行けないような場所だとは聞いてなかったんだけど?」


のぞみの指定席に座らされた後、やっと落ち着いて話せた。


「言わなかったか?ちょっと遠いけど付き合えと言っただろ」


「『ちょっと遠い』が新幹線に乗って行くような場所なの?せいぜい車で二時間くらいかな…と思うでしょうが」


「車で行けるような場所じゃないんだよ。本家の墓は田舎だから」


「お礼参りって、貴方の本家のお墓に行くこと?それって此処からどれくらいかかるんですか?」


…って言うよりも、私はどうして一緒に行かされてるの!?


「新幹線で三時間くらい乗って、その後各駅停車に乗り替えて一時間くらい…かな」


「ええっ!?それだと片道四時間じゃない!冗談じゃないよ!往復だと八時間もかかるじゃないの!」


「まあそうなるよな」


「そうなるよな…って、呑気過ぎもいいとこでしょ!!」


大声を上げて睨むと、まあまあ落ち着けよ…と言い返してくる。


「何も今日中に帰る訳じゃないんだ。本家の墓参りが済んだら泊まるように手配もしてある」


「泊まるー!?」


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