お見合い相手は、アノ声を知る人
「暑っちいな。何か飲むか」


キッチンに行く彼に、アルコール以外と指定した。
昼間から飲むかよ、と呟き、彼は贈答用と思われるフルーツジュースの缶を持ってきた。


「ジジイがくれた。中元らしいぞ」


「会長は貴方を子供扱いしてるんですね」


グレープの缶を受け取りながら可笑しくて笑う。
ソファに掛けるよう勧められ、お尻を着けると彼も隣に腰掛けてきた。


「そうなんだよ。ジジイは昔から俺をずっとガキ扱いでさ」


「溺愛されてるのね」


「そう言う明里もだろ?」


聞き返す彼にフッと微笑み、まあね…と囁いてからプルタブを押し込む。
コクッと飲むとグレープの味は濃厚で美味しい。
流石は会長へのお中元だ…と、感心しながら缶を見つめた。



「…ねぇ、一路さん」


缶を見たまま声を出すと、グレープフルーツのジュースを飲み干してる彼が、んー?と声を返した。
唇に付けてた缶を離し、何だ?と顔を向ける。


その顔を見ながらホントに自分でいいのかと確かめようかと思った。でも、愚問過ぎると何処か言われそうで聞けなかった。


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