あなたの為に、唄います

「綺麗な声だね。」

中学3年生の10月。
私はまだ、歌い続けている。
周りは、公立に行こうか、私立に行こうかと
騒ぎ立て、悩んでいる。
昨日配られた真っ白な紙には、明朝体で一言だけ

「進路選択について」

と書かれていてその下には高校を書く最低限のスペースと印鑑を押すところがある。
これだけの紙なのにどうして書くのに悩むのか、私にはわからない。
音楽以外やってこず、レッスンの為に友達の練習をすっぽかし続けた私は、正直友達関係に疎くなっていた。
たかだか部活だけで辛いといい、勉強だけで辛いという同い年はどうやっても話が、あわない。
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