* allergenic *
「なぁ優那、お前顔赤過ぎ…それにその顔 他の奴に見せるの禁止な…。」

ちょっと朱に染まった頬の課長が言う言葉すら 甘い砂糖水の様に私には感じる。

これ何?私どうしちゃったの?

多分今なら 課長の言う事を無条件で何でも聞いてしまいそうな、そんな危ない感じがして困る。

コクコクと頷くと 頭を優しく撫でられる。

「なぁ、今日みんなとの旅行止めて、二人で過ごす?」

意地悪な言葉すら甘く きゅんきゅんと音がしそうなくらい心臓がヤバい。

「碧斗待って スゴく胸が痛いの。ちょっと離れてくれる?」

自然と涙目の優那が上目遣いで聞く感じになる。

「ああ、少しだけなら離してあげる。でも俺も我慢出来ないんだけど?」

何言ってるの?痛いの我慢するのは 私でしょ?

「あっ碧斗ダメだよ。もう時間が余りない。早くご飯食べて。しっかり食べないと車酔いしちゃうよ?」

「優那が堪んないくらい可愛いから悪い。あ~、ダメだよ。俺もう限界だな…。旅行中 俺に襲われない様にね。でも、他の奴には指一本も触らせんなよ。わかった?クスッ」

最後にみた顔は 何故か意地悪な悪い顔をする課長に、心を持って行かれそうになりながら、用意を何とか済ませ、部屋を後にしたのだった。




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