ご令嬢は天才外科医から全力で逃げたい。
通用口でポロシャツにチノパン姿で鞄を下げた
外科の医師、守田寛貴は戸惑っていた。

「うっわー・・。見てはいけない物を見てしまった気がする・・。」

ボソリと呟いて、ポリポリ頭をかきながら医療相談室の秋元咲の元へと向かうことにした。


「海君、どこに行くの?」

「ゆっくり話せる場所だ。この間は、全然話が出来なかったからな。」

慌ててタクシーの窓の外を見る。

六本木の交差点を抜けて、スピードを出して走り抜けた。

10分くらい走った先の、30階建ての大きなマンションの前に停まった。

「降りろ。」

私は恐る恐る降りて、海に着いていく。

豪華なマンションのオートロックを2回抜けて、コンシェルジュのカウンター前を過ぎてエレベーターに乗り込む。

29階のボタンが押されて、たどり着いた部屋の鍵を海は器用に開けた。

その中へと私を連れ込んだ。

「ねえ海君・・ここって!?」

広い大理石の敷き詰めらた玄関を抜けて、3つある扉が廊下の左右にあった。

その先のだだっ広いリビングダイニングへと案内された私は、ここが海のマンションだと気づいたのだった。

「俺の部屋だ。
一人暮らしで誰もいないから安心して寛げばいい。」

・・え?

全く安心できない危険な状況だと思うんですけど!?

「あの、私に話って何ですか・・?」

不安しかない私ですが、さっさと本題を片付けようと話を切り出した。

「お前、二条慧とはどんな関係なんだよ?」

・・直球で来たー!!

海は、目が泳ぐ私を眼鏡の奥で睨みながら見つめる。

「・・うちの病院の外科の先生?です。・・以上です!!」

「それだけか?どうしてあいつと誕生日に一緒にいるんだよ?」

「誘われたんで、行きましたけど?私の誕生日だってうっかり忘れてて、サプライズされました。」

「お前、自分の誕生日を忘れてたのか?相変わらずだな・・。」

眼鏡の奥に優しい瞳を称えた海に私は驚いた。

「あいつは、お前に好意が在りそうだった。お前はあいつが好きなのか?」

「そんな訳ないでしょう。私は俺様な性格の男は大嫌い!二条先生も、海君も。」

私はかあっと頬が熱くなって海を睨んだ。

そんな私を怪訝な表情で海は見つめた。
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