所長による小動物系女子の捕獲計画
建築業界はまったく未経験だと困ったように言っていたけど、本人の事務処理能力の高さゆえか、就職直後から仕事は全く問題なくこなしている。

「大学の人文学部卒は一番潰しがきかなくて」と面接で言っていた話は、よく分かる。俺の周りでも、人文学部の奴らは就活に苦労していた。女子で中途採用なら、尚更だろう。

前職はどっかのちいさな機械部品メーカー、だったかな。あまり聞いた事のない社名だったからか、うろ覚えだ。そこが経営不振で希望退職者を募った時に応じて、うちに面接に来たのだと言っていた。

はっきりとは言葉にしなかったけれど、口ぶりから「扶養家族のいない自分が辞めた方がいいと思った」から退職したのだろう。会社も同僚も好きだった、と語った時の笑顔はとてもきれいだった。


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自分で言うのもなんだが、俺は昔から突出して出来るヤツだった。中高の成績も良かったし、建築士になる夢を叶えるべく入った大学でも学生時代から様々な賞を獲得したし、卒業後は著名な建築家に請われて彼の事務所に入り、世界を広げ腕を磨いた。この業界で生きていくなら、これ以上ない順風満帆さだろう。

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