ナミダ列車
「瑛太……別れよ」



そう言ったらキミの顔はみるみる目が見開いてったね。
驚いた?
まさか自分が振られるなんて思わないよね。



「なしたの?」



彼特有の落ち着いた声で聞かれる。



「好きな人ができたの」



…そんな人いない。
そんなの瑛太だけだよ。



「好きな人ができたなら仕方ないね」



変わらない落ち着いた声が聞こえる。



「じゃあね」



ああ終わったんだ。
あたしと瑛太は終わったんだ。



「やこ」



大好きな声で名前を呼ばれる。



「ん?」



顔を見てしまうと泣いてしまいそうなので見ずに答える。



「今までありがとな」


「こちらこそ」



この言葉を最後にあたしは瑛太の元を去った。



でっかくて忘れられない想いと一緒に。
いつになったらこの荷物下ろせるのかな。


あたしの片恋はずっと揺られる電車に乗って
彼を通過してしまったみたいだ。

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