女トモダチ
「……つく」

「えっ?何?聞こえなかった」

耳の後ろに手を当てて首を傾げる蘭。

あたしはセイラをまっすぐ見つめながらハッキリといった。

「ムカつくに決まってんじゃん」

「真子……」

「だってさ、セイラ……あたしとハルトが両思いなの知ってて告白したんだよ?」

「そうだよ。あの子って意外と腹黒いし」

「でしょ?それにさ、あたしが初めてハルトにデートに誘われた日にも一緒についてきたんだよ?ありえなくない!?普通遠慮するでしょ?」

「マジで~?なにそれ。ちょっと詳しく聞かせてよ」

積りに積もった不満は次から次に口から溢れ出す。

もう止められなかった。今までの不平不満を吐き出せば吐き出すほどに気持ちがスーッと軽くなる。

「マジで?ありえない!セイラって最低じゃん!」

蘭があたしの気持ちを代弁してくれるたびに心が震える。

ああ、あたし……こんなにもストレスを感じていたんだ。

セイラと一緒にいることが中学の時からずっと当たり前だったけど……その当たり前をそろそろ壊してもいいのかもしれない。

「真子ってば色々大変だったんだね。お節介かもしれないけど、セイラとちょっと距離置いたほうがいいんじゃない?」

「うん……そうする」

最後まで話を聞いてくれた蘭の気遣いが温かく染み渡った。
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