女トモダチ
でも、この時はまだ心にわずかな余裕があった。

きっと大丈夫だという変な自信があったから。

入学してから数か月間、あたしとハルトはクラス内で一番親しい間柄だった。

林君だってはっきりは言わなかったけど、あたしへのハルトの気持ちを代弁しているかのようだった。

ハルトがあたしに元カノの影を重ね合わせていたっていいじゃない。

それでも、あたしを見ていてくれていれば。

大丈夫。

ちゃんと理由を話せばハルトは分かってくれる。

そう信じていたし、そうだと疑わなかった。

でも、そうじゃなかった。

あたしのその一言は全てを一変させた。

ハルトから何の連絡も来なくなり、挨拶もしなくなり、言葉を交わさなくなり、目を合わさなくなり、廊下ですれ違ってもそのまま素通りする。

あたしとハルトはクラスメイト以下の存在になった。

そして、それ以上に恐れていたことが現実になった。
< 38 / 231 >

この作品をシェア

pagetop