Memory Puzzle
「ゆっくり食べれる所を探そう。」
そう言って探し始めたものの、人が混み合っている境内ではなかなか見つからない。手の中にある雑煮も、だんだんと熱を失っていった。
「キャッ!」
その時、時音は体が投げ出されるのを感じた。慣れない靴を履いていたせいで、時音はこけてしまったのだ。目を上げると、プロデューサーの様な男の人が雑煮に濡れた自分のコートを、マジマジと見ている。
「すいません。」
時音は慌てて立ち上がると一生懸命頭を下げた。それでも男は冷やかな目線を時音に送っている。
「すみません。何でもするので、許してください!」
事態に気付いたすばるくんも、一生懸命謝ってくれてるが許してくれる雰囲気は、まるでなかった。すると突然、男は何かをひらめいたような顔をした。嫌な予感が、時音を襲った。
「ファミレスにでも入って話そうか?」
男は神社から見える、有名チェーン店を指差していた。時音は断ろうとしたのだが、すばるくんがアイコンタクトで黙っとけと、訴えかけていた。
「良いですよ。」
時音は、目を見張った。こんな怪しい人に付いて行くなど、信じられなかったのだ。
「付いて来い。」
そういった男の後ろを、いつでも逃げられる様にしながら、付いて行く。
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