はたらかなくても、はたらいても君が好き
理性
「はい。はい。分かりました」
「馬場!!」
「はい!!」
「第3会議室で13時から会議があるから、お茶配りよろしくね」
「はい!! 13時…」
木の家の掛け時計を見る。
12時…45分?
「あと15分よ。走って!!!」
「はい!!!」
ポチ、ポチ。
エレベーター早く来て!!!
私の名前は馬場真那(ばば まな)。
今年の3月無事に大学を卒業し、4月から増月建設に入社した。
遅いなぁ…、エレベーター…。
ここは7階…、第3会議室は13階…。
『走って!!!』
階段から行こう!!!
入社して1ヵ月の新人研修を終えた私が総務部に配属され2週間が過ぎた現在。
5分で13階の給湯室に着き、5分でお湯を沸かして、5分でお茶を配り終える。
「どうぞ」
「ありがとう」
「どうぞ」
「ああ…」
「どうぞ…」
よし、10名全員に配り終えた…。
会議室にある洋風の城の掛け時計の時間を見る。
12時…5……9分…。
間に合った!!!
仕事を終え会議室を出ようとした時、ひとりの男が現れると、今までくつろいで座っていた部長や専務達が立ち上がり
「社長、お疲れ様です」
「お疲れ様です。社長」
「お疲れ様です」
「お疲れ様です…」
ひとりひとり頭を下げていく。
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