【BL】お荷物くんの奮闘記
「そこまでは私の方でも、詳細は……。ただ、あれは勇者などではなく、悪魔だったのだと」
隣のリュータが、ひえっ、と息を呑んで身震いした。彼の頭の中では今、少年の皮をかぶった悪魔が口を大きく開けてリュータを頭からがぶりと食べようとする光景が浮かんでいることだろう。
「それからこの国では、研究職以外の者にも呪いが降りかかるようになりました。
これは来るべき時、必要な人へ「情報」を渡すようにという約束を守ることができなかった一族、ならびに東国への勇者様からの天罰なのだと、皆助かる道を探そうとすらせず……」
彼女が視線を落とした。貴族は事態の深刻化と同時に軒並み国外へ逃げてしまっているようだし、残された数少ない国民を守れるのは彼女くらいのものなのだ。
「その、勇者の遺志っていうのは、勇者が居れば見せてもらえるのか?」
「もちろんです。私の技量が足りずあまり正確な占いはできませんでしたが、この大陸に新たな勇者様が降りられていることは存じております。だから……勇者様がこちらへお越しになる時のためにも、私はこの国を守りたい」
目を瞬かせて、リュータがこちらを見た。視線がかち合う。
「ここにいるよ。次代の勇者様」
勇者の剣はつい宿屋に置いてきてしまったが、勇者特有スキルのアレがあれば充分だろう。リュータをその場に立たせ、耳打ちする。
「あれやってみせろ。MP消費して剣出すやつ」
隣のリュータが、ひえっ、と息を呑んで身震いした。彼の頭の中では今、少年の皮をかぶった悪魔が口を大きく開けてリュータを頭からがぶりと食べようとする光景が浮かんでいることだろう。
「それからこの国では、研究職以外の者にも呪いが降りかかるようになりました。
これは来るべき時、必要な人へ「情報」を渡すようにという約束を守ることができなかった一族、ならびに東国への勇者様からの天罰なのだと、皆助かる道を探そうとすらせず……」
彼女が視線を落とした。貴族は事態の深刻化と同時に軒並み国外へ逃げてしまっているようだし、残された数少ない国民を守れるのは彼女くらいのものなのだ。
「その、勇者の遺志っていうのは、勇者が居れば見せてもらえるのか?」
「もちろんです。私の技量が足りずあまり正確な占いはできませんでしたが、この大陸に新たな勇者様が降りられていることは存じております。だから……勇者様がこちらへお越しになる時のためにも、私はこの国を守りたい」
目を瞬かせて、リュータがこちらを見た。視線がかち合う。
「ここにいるよ。次代の勇者様」
勇者の剣はつい宿屋に置いてきてしまったが、勇者特有スキルのアレがあれば充分だろう。リュータをその場に立たせ、耳打ちする。
「あれやってみせろ。MP消費して剣出すやつ」