スーゼントの怨霊
牢獄の中だけ霧が立ち込め、視界をさえぎる。
ハデスがいる牢獄をみた男達は唖然としてしまう。
彼らの目には血で書かれた暗黒文字が映った。
「なんと言うことだ…」
村長はようやく気づいた。
ハデスを殺すのではなく、護らなければいけない事を。

災いの日、それは魔界が開かれ、邪悪なモノが人間を喰らうとして恐れられてきた日。
その日に生まれた者は悪の力を宿していると信じていた。
もし、悪の力が目覚めると生きている者全ての命を奪う。
ハデスの場合、孤独と恐怖が悪の力を引き出す鍵だったのだ。
「許してくれ。ハデス…すまない。」
村長の言葉をあざ笑うかのようにハデスは言った。
「思い知れ。」
と。
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