スーゼントの怨霊

死の知らせ

日は沈み、漆黒(しっこく)の闇に包まれた。

木製の椅子に座り息を殺す者も居れば武装をしてドアの前に立ち、ハデスの命を狙う者までいた。
それぞれの家の屋根にカラスが止まると、村の中心部にハデスとその一行が現れた。
「静かにするんだぞ~!」
楽しそうな声で叫び、樽を椅子代わりに足を組んで腰掛けた。
「ハデス!貴様っっ!」
武装したこの村一番の強者がクワを振り上げてハデスに襲いかかる。
村中を一望できる高さで飛び回っていた死神が上空から男めがけて猛スピードで降下してきた。
ハデスはすかした顔で死神を止める。
「やぁぁ!」
男のクワは見事命中。
肩からあばら骨まで斬り込んだ。
「うぎゃゃゃあぁぁぁ!」
ハデスの悲鳴が村を轟かせる。
勝利したかにみえた。
「…くっくっくっくっ…ハハハッ!俺を殺そうとするとは。いい度胸だ。」
えぐれた傷口からクワを引き抜き、笑った。
「し、死なない。」
男は不死身のハデスに度肝を抜かれ、クワを放した。
「俺はただのガキではない。」
話している間に目が蛇のような目に変わり、抜き取った血だらけのクワを握りしめ、男の膝を切断した。
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